ゼミブログ
世界史チャレンジ問題⑫|上越高田駅前教室
2021年11月04日
【世界史の問題にチャレンジしてみよう!】◎新潟駅・東三条駅・六日町駅・長岡駅・上越高田駅・仙台駅の塾、真友ゼミの講師陣による大学受験勉強方法ブログ!
激ムズ☆世界史チャレンジ!! 第12回
第12回 中世ヨーロッパ編② ~解説編~(続き)
前回に引き続き慶應の問題(改題)にチャレンジしていきます。
◆前回
世界史チャレンジ問題⑪|上越高田駅前教室
今回は問2の解説を行います。問題は再掲します。
問2 以下の設問に解答せよ。
(1)コンスタンティヌス帝の伝記を執筆し、さらに『年代記』を書いた人物は誰か。
(2)カルタゴと並んでビザンツ帝国の総督府が置かれていた地で、ユスティニアヌス1世のモザイク画のあるサン=ヴィターレ聖堂が所在する地はどこか。
(3)551年、ビザンツ帝国はある国から領土を奪って、帝国領の大半を回復する。この領土を奪われた国が、6世紀後半から8世紀初頭まで首都としていたのはどこか。
問2-(1)
はい出ました完全暗記問題。
『年代記』と言ってまず思い浮かべるのはタキトゥスでしょうが…時代が違うのでアウトです(タキトゥスが『年代記』を書いたのは五賢帝期です)。
答えはエウセビオスです。
彼は教父という、古代~中世初期のキリスト教学者の代表的人物でした。
(もう一人代表的な教父として、410年に『神の国』を著したアウグスティヌスがいます)
彼は教会史家として、『教会史』『年代記』を著しました。
彼が活動したのはコンスタンティヌス帝の治世下(324~337)でした。また、325年のニケーア公会議でも中心的な役割を果たした人物です。
問2-(2)
(1)に続けて(2)も暗記問題。
サン・ヴィターレ大聖堂はラヴェンナに位置しています。
…と、言葉で覚えてオシマイ!だけではもったいないです。
せっかくなので「ラヴェンナはどこか」「どんな歴史的経過を辿ったか」「件のモザイク画はどんな絵か」をチェックしておきましょう。
①ラヴェンナはどこにあり、どんな経過を辿ったか?
まず、ラヴェンナの位置は、上の地図の赤いところです。
このラヴェンナは、時代によって支配者がコロコロ変わっていますので、ここでチェックしましょう!
年号 | できごと | ラヴェンナの領有者 |
395 | ローマ帝国東西分裂 | 西ローマ帝国 |
476 | オドアケルが西ローマ帝国を滅ぼす |
|
493 | テオドリックがイタリア半島に東ゴート王国を建国 | 東ゴート王国 (※首都がおかれた) |
555 | ユスティニアヌス帝が東ゴート王国を滅ぼしイタリア半島を領有 | ビザンツ帝国 (※総督府がおかれた) |
568 | ランゴバルド人がイタリア半島に、ランゴバルド王国を建国 | ランゴバルド王国
|
756 | ピピンの寄進 | 教皇領 |
②件のモザイク画はどんな絵か?
はい、こんな絵です。教科書にも掲載されているかと思います。
真ん中の帝冠を戴いている人物がユスティニアヌスです。
問2-(3)
この時期、ユスティニアヌスはヴァンダル王国(北アフリカ)、東ゴート王国(イタリア半島)を滅ぼし、西ゴート王国(イベリア半島)とも戦って地中海のほぼ全域を征服しました。
では、551年に戦った国は果たしてどれなのか。
もちろん、覚えておくに越したことはありません。
534年 ヴァンダル王国(都:カルタゴ)を滅ぼす
551年 西ゴート王国(都:トレド)から領土をうばう
555年 東ゴート王国(都:ラヴェンナ)を滅ぼす
という順番になります。
…が。
お わ か り い た だ け た だ ろ う か ?
ヴァンダル王国と東ゴート王国は「滅ぼした」のに対して、西ゴート王国は「領土を奪った」に留まっているのです(※西ゴート王国は711年、ウマイヤ朝に滅ぼされます)
…で、問題文を見ると、
領土を奪われた国が、6世紀後半から8世紀初頭まで首都としていたのはどこか
とあります。つまり、領土を奪われこそしたが、滅んでいない。
ゆえにこの国は滅んでいない西ゴート王国となり、その首都はトレド、と考えることができます。
次回は問2の(4)~(6)を解説します!