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第20回:国公立二次試験の攻略法②|新潟駅前教室
2020年08月08日
~大学入試の英語勉強方法~
ベテラン講師の中山(真友ゼミ新潟駅前校)が教える入試英語の勉強方法
前回は下記の下線部の直訳を作るところまで進みました。
◆前回
第19回:国公立二次試験の攻略法|新潟駅前教室
「例えば、混雑した電車に乗っている間にunintentionallyに赤の他人にbumping intoすることは無害な失敗だと考えられていて、返す言葉として単なる短くてinformalな「ごめんなさい」しか必要としません。」
今回は意味が分からないままになっている赤字部分の意味を推測していきます。以下に問題文をあらためて載せておきます。
岩手大学(2013年度・前期日程)
下線部を日本語に訳せ。
In general, the more serious the error, the longer and more detailed the apology should be. For example, bumping into a stranger unintentionally while on a crowded train is considered a harmless mistake, requiring just a brief and informal “Sorry” as a response. On the other hand, accidentally breaking your neighbor’s new car window or spilling juice all over your boss’s suit would both require more elaborate apologies.
まずはbumping intoの意味から。
混雑した電車に乗っている間に赤の他人にしてしまう無害な失敗とは何か?「ごめんなさい」の一言で済んでしまうような失敗です。それは常識で考えましょう!思いつかないからといって無視したら訳文は作れません。何かしらの訳を書くしかないのです。答えは「体がぶつかること」ではないでしょうか。
次にunintentionallyの意味。
単語の構造がun-intentional-lyとなっている語(複合語)であることからまず考えてみましょう。否定辞-形容詞―副詞語尾という構造です。
形容詞intentionalの意味が分かれば推測できますが、どうでしょう? intentionalの意味は「意図的な」です。動詞intend(意図する)の名詞形intention(意図)をさらに形容詞化したものです。「非意図的に」というのが直訳になります。intentionallyに「わざと・故意に」の意味があるので、その反対の「うっかり」という訳がunintentionallyの訳として一番よいと思います。
こうした単語帳には載っていない複合語には文中で出会うたびに基本単語から意味を推測するクセをつけておかないといけません。
最後にinformalです。これも複合語ではありますね。in-formalと否定辞-形容詞の構造です。
formalは「公式の・形式的な・格式ばった」という意味だと分かっていれば、その反対の意味として「非公式な・格式ばらない」という訳が出てくるかもしれません。しかし、それは単にinformalの辞書的な直訳でしかありませんね。この文中でのinformalの意味としてはふさわしくないように思います。
「短くて格式ばらない『ごめんなさい』」は日本語の語の使い方として若干違和感があるように思いませんか。単語の意味を決めるのは辞書ではなく、単語が置かれた文なのです。「日本語らしさ」は大事な訳の基準です!
ではinformalはこの文ではどんな訳がふさわしいのでしょうか。ヒントは二つあります。ひとつは次のOn the other hand以下の文です。On the other hand(その一方で・それに対して)は対照表現ですので、続く文は下線部の文と対比的な内容になっているはずです。
On the other hand, accidentally breaking your neighbor’s new car window or spilling juice all over your boss’s suit would both require more elaborate apologies.
赤字の部分が下線部中のrequiring just a brief and informal “Sorry” as a responseの部分に対応していることが分かれば、more elaborateがbrief and informalと対比的な意味になっているはずだと分かります。elaborateが「手が込んだ・入念に作った」の意味だと知っていればinformalは「ごく簡単な」のような意味ではないのかと判断できます。
もうひとつの手がかりも説明しておきましょう。
下線部はfor exampleで始まっていることから分かるように、下線部はその前の文の内容の具体例です。当然二つの文は同主旨の内容でなくてはいけません。文中の語には対応関係があるはずです。
In general, the more serious the error, the longer and more detailed the apology should be.
(一般的には、失敗が重ければ重いほど、謝罪は長くかつ詳細にわたるものになるべきです。)
この文の中のlongerが下線部中のbriefの反対語になっていることに気付ければ、おそらくはinformalはdetailedの反対の意味なのではないかと気付くこともできるはずです。
この行き方からでもやはりinformalは「ごく簡単な」になるでしょう。
どうでしたか?上記のコツを使っても推測できない単語は当然あるでしょう。その場合でも単語を無視してはいけません。一語でも無視して訳すと構造分析がおかしくなる危険性が増すからです。構造分析を誤ると訳は不成立、零点になりかねません。
意味がどうしても推測できない単語は無視するのではなく文全体の意味に抵触しない程度の意味を適当にあててください。無視すれば確実に減点なのですから何か訳を入れておくべきです。そしてそれは意外と正しい訳に近いものになっていることが多いのです。
下線部の訳の正解例:
「例えば、混雑した電車に乗っている間にうっかり赤の他人に体がぶつかることは無害な失敗だと考えられていて、返す言葉として単なる短くて簡単な『ごめんなさい』しか必要としません。」
◆第21回
第21回:国公立二次試験の攻略法③|新潟駅前教室